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林檎亭

(´・ω・`)やぁ。 ようこそ林檎亭へ。

プロローグ【宇宙駆ける蒼い鳥】

2009.11.08

category : 月光蝶である!

宇宙世紀 0080年 1月 アフリカ大陸南部



「もう止めて!戦争は終わってるの!」

そう叫んで、ハルカ・アマミはビームサーベルを引き抜いた。

粒子の刃が、勢いよく振り下ろされたヒートホークを受け止める。

「志を持たぬ貴様らに、何が分かる!」

抵抗するハルカのサーベルに、力いっぱい斧を押し付けるMS-06J、陸戦型ザク。

ハルカはコックピットの中で大きく首を振ると、

「ごめんなさい……」

右手のビーム・ガンをザクのコックピットに押し付けた。

光の束が、ザクを貫く。

大きく飛び上がり、爆発を避けるハルカ。

美しい直線で構成されたシルエットのMS……、ジム・コマンド。

本来地上戦仕様はクリーム色とネイビーで塗装されているはずだが、ハルカの機体は純白の四肢に赤みを帯びた桃色の胸部。

ハルカは高空に舞い上がったコックピットから、戦場を見渡す。

遥か遠く、鉱山を改造したジオン基地。

真下には敵味方のMSが入り乱れている。

そして、

「後ろ!?」

ハルカは咄嗟にビーム・ガンを持ち直し、振り返ることなく腋の下を通して撃った。

ヒートホークを振りかぶり、突進してきていたザクが腹を貫かれ墜落していく。

「皆は……大丈夫か……」

改めて後ろを見ると、母艦であるヘビィ・フォーク級戦艦が砲火と砂煙の中に健在していた。




[ザク、2機撃破!いずれもハルカさんのスコアーです!]

その艦橋、オペレーター席に座った、緑の髪の女性………コトリ・オトナシが言った。

「敵戦力はほとんどないはずなのに……それでも抵抗を続ける、か………」

頷き、唇を噛む艦長席に座る長い髪の女性、アズサ・ミウラ。

「ヤヨイちゃん、チハヤちゃんの発進準備は?」

[脚部損傷パーツ交換完了、出れますっ!]

コトリの隣に座るヤヨイ・タカツキが、元気良く返事した。

「チハヤちゃん、ハルカちゃんに大分負担がかかってるわ。出られる?」

[了解!チハヤ機、発進します!]

その言葉と同時に、戦艦に牽引されていたMS用のから蒼いジムが飛び出した。

本来赤い部分の塗装が、鮮やかな群青のジム前期量産型。

だが何よりも特徴的なのは、その肩部アーマー。標準の立方体のそれではない、青い棘の生えた……グフの肩部アーマーが、その右肩に装備されていた。

[ハルカ!大丈夫!?]

ザクと銃撃戦を続けるハルカのもとへ、全力で向かうチハヤ。

[あ、チハヤちゃ……]

それに気づいたハルカは振り返り、

[ふわ!?]

足元の岩に、盛大に躓いた。

倒れ込むハルカのジム・コマンドに狙いを定めるザク。

[あの馬鹿……!]

ブースト全開。一気に近寄り、ザクに向けて実弾ライフルを放つ。

狙い澄ました一撃が、ザクを貫いた。

[ごめん、チハヤちゃん。]

そう言って、コックピットの中で手を合わせるハルカ。

[あなた本当にニュータイプなの?]

[分からないよ、自分では……]

[まぁ良いわ。一度後退して休んで。ここは私が支える。]

[え?でも………]

[もうすぐマコトも合流する予定だし、大丈夫よ。]

[マコトが来るの!?]

その言葉に、ハルカは満面の笑みを浮かべる。

[ええ、だからあなたはゆっくり休んで。]

[分かった。よろしくね。]

ハルカ機は立ち上がるとサムズアップ、離脱した。

チハヤは微笑みながらそれを見送り、

「さて………」

油断なく銃を構えた。

その時。

ピピッ!

「熱源!?」

慌てて飛びのいたその場所に、巨大な榴弾が着弾する。

「きゃあっ!」

凄まじい爆発に吹き飛ばされるチハヤ。

地面に激突する直前、バーニア開放。姿勢を立て直し、岩陰へと転がり込む。

「くっ………」

ゆっくりと起き上がり、各部損傷チェック。

……またすぐに壊したら、リツコに何言われるか……

逆鱗のリツコ・アキヅキを想像して、体を震わせる。

幸い、推進剤が大幅に減っている以外に異状は無い。

「いけるか………」

そう言って、チハヤは立ち上がる。

だが、岩陰から顔を出そうとして、その動きが止まった。

すぐ隣、ポッカリと空いたMS一機分ほどの大きな穴。

周りに掻き出された湿った土があるところからして、つい最近の物だ。

「誰かいるの!?」

銃を突き付け、覗き込む。

[はう……はわ……はわわわ……]

穴の中、体育座りで動かない巨大な人影、モビルスーツ。

チハヤは銃を突き付けたまま、データバンクと照合を開始する。

……これって、ジャブローで確認されてる水陸両用MS……

ピピッ、という音と共に解析終了。

「『アッガイ』?」

丸っこい体のラインに、タコのような口、茶色いボディ。

チハヤは小さく咳ばらいをすると、

「……アッガイのパイロット、聞こえていますね?コックピットを開けて投降しなさい。」

短波無線を全周波で開放、チハヤは言った。

[は……はいぃ……]

半泣きの声で返事があり、コックピットが開く。

中から出てきたのは、チハヤと同じ年頃の、ジオンのノーマルスーツに身を包んだ少女。

肩のあたりで切り揃えた茶色かかった髪が、体に合わせて小刻みに震えている。

……同い年くらいじゃない……

思わず息を飲み、銃を下ろすチハヤ。

「え…………?」

不思議そうにチハヤ機を見上げる少女。

チハヤはコックピットハッチを開け、外へ出た。

「持っている銃を捨てなさい。」

「もももも持ってませんっ!」

「そう……」

いつもならここで疑ってかかるチハヤだが、この少女が嘘をついているとはとても思えず、

「こっちへいらっしゃい。」

言った。

「ななななな何を………」

「何もしない。戦争は終わったの。」

ハッチのパネルでジムを操作、手に乗って少女の前に立つ。

「戦争が終わった!?」

心底驚いたように、少女が跳びはねる。

「……ええ。」

「そう……なんだぁ……」

困惑しながらもチハヤが頷くと、長い息と共に少女はへたりこんだ。

「……何も聞いてなかったの?」

へたりこんだ少女の肩に手を置くチハヤ。我ながら無防備な行為であると思いながら。

「ええ、何も。」

憔悴してはいるが、どことなくほっとしたように少女は言った。

……何も知らせず、私みたいな年齢の人間を戦争に狩り出すジオン…………

大戦早期に壊滅した故郷、東京や、死にゆく仲間の顔が、チハヤの頭の中を駆け巡る。

歯軋りを堪え、口を開く。

「あなた、名前は?」

「ユキホ………ユキホ・ハギハラです。」

「私はチハヤ。チハヤ・キサラギ。」
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プロフィール

リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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