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林檎亭

(´・ω・`)やぁ。 ようこそ林檎亭へ。

第四話-重力戦線(後編)-【宇宙駆ける蒼い鳥】

2010.02.17

category : 月光蝶である!

【カリブ海上空】

「お久しぶりです、ジョセフさん!」

ガルダ級輸送艦『インベル』の艦橋、ハルカは元気良く敬礼した。

「いやぁ、お久しぶりですアマミさん。星の屑以来でしたかな。」

敬礼を返し、手を差し伸べるジョセフ。

「あの時は、ご迷惑をおかけしました。」

そしてその手を握り返したハルカに、深々と頭を下げた。

「もう、まだその事気にしてるんですか?」

ハルカの後ろから、マコトが気楽に言う。

「ボクらも連邦のやり口に腹が立ってそっちに加勢したんです、気にしないで下さい。」

「……ありがとうございます。」

英国紳士のような優雅さで礼をするジョセフ。

そして後ろを振り返り、

「では、もう紹介は不要ですね。」

春香は大きく頷き、

「はい!ナラバさん、」

黒一点を指差して、

「ソレハさん、」

ショートカットの女性を、

「……えーと……」

眼鏡の女性を指差して、動きが止まる。

「ナゼです!なんで私だけ忘れるのよ……」

「ああ、そうでしたそうでした。あははは………」

「先輩、だいたいの人に一度で名前覚えてもらえませんよね。」

「うるさいっ!」

からかうショートカットの女性……ソレハに猛然と噛みつくナゼ。

「マコト!元気してたか!」

「ナラバさんこそ!」

片や、マコトとナラバは元気良く手を打ち合う。

「マコトさん、また彼に、空手でも教えてやってください。私の指導は、どうも分かりにくいようで……」

「隊長の肉体言語で分かるわけないじゃないですか……」

「分かりました!」

肩を落とすナラバに、マコトはガッツポーズをとった。

「……お変わりないようで、本当に何よりです。」

ジョセフは微笑み、

「そういえば、もう一人……キサラギさんは……」






【地球連邦軍 カリブ基地】

「大尉殿、グリプスのオーバーマスターとの回線、繋がりました!」

基地の指令室。一人の下士官が、受話器のようなものを持ってチハヤに駆け寄った。

「もしもし、中佐ですか?」

そのレーザー通信回線の受話器に向かって言うチハヤ。

[キサラギ大尉……無事で何よりです。]

「ありがとうございます。」

目の前にシジョウがいるかのように、律儀に敬礼する。

「ヒビキやミキも降りて早々、ハル……我々と共に大気圏を突破した部隊と一戦交えたようです。補給を兼ねてこの基地で合流、追撃をします。」

[……ハルカ・アマミ、ですか?]

唐突なシジョウの言葉に、チハヤは動きを止めた。

「何故……それを……」

[ホワイトベース部隊、 そして765独立小隊。一年戦争の代から地球連邦軍に属する者で、知らぬ者は居ません。]

「でも、それがあの部隊だとは……」

[……まぁ、詳しいことは、ユキホに聞いたのですが。]

そして、通信の向こうでシジョウが笑う。

「なかなか通信が繋がらないと思ったら……!」

[彼女も貴方のことを心配していました。気にするな……とは言いませんが、貴方なりの答えを見つけなさいな。]

「しかし、このままでは作戦行動に支障をきたしてしまうかも」

[貴女なら大丈夫でしょう。『蒼い鬼神』の二つ名は、伊達だったのですか?]

「……いえ。」

「貴女なら大丈夫です。真実を……いえ、これは蛇足ですね。とにかくも、本領、地球での戦果を期待しています。」

「……?分かりました。チハヤ・キサラギ大尉、地球でのエゥーゴ討伐任務に邁進します!」

指令室のど真ん中で完璧な敬礼を披露し、チハヤは通信を切った。

その時である。

「大尉殿、ヌービアムが到着しました!」

指令室の扉を開け、一人の兵士が入ってきた。





「チハヤさんっ!」

ヌービアムのタラップの手すりを乗り越え、ミキはチハヤに抱きついた。

「ミキ、ヒビキ、大丈夫だった?」

肩に頭をうずめるミキを抱き返し、チハヤは微笑む。

「あたりまえだぞ!……って言いたいところだけど、やられた。」

「MSは直せるじゃない。貴方達が無事なのが何よりよ。」

チハヤの隣に並んでうなだれるヒビキ、チハヤは慰めるようにその肩を撫でた。

「チハヤさんも、無事で何よりなの!」

「ユキホのおかげよ。彼女がいなければ、どうなっていたことか。」

「別に、私は何も……」

微笑むチハヤに、ユキホは大きく首を振る。

その時、

「チハヤ・キサラギ大尉殿ですね。」

タラップの上、カラスが言った。

「貴方は?」

「カラス・グランドロッヂ。トゥリアビータニュータイプ研究所の者です。」

「トゥリアビータ……あのゲリラ上がりの?」

怪訝な顔を向けるチハヤに、

「これは手厳しい。」

苦笑するカラス。

「ごめんなさい。それを言えば、ティターンズの大半は温室育ちの頭でっかちね。」

「しかし貴方達は違う。新しいMSの支給もありますよ。」

カラスは微笑んだ。

「本当か!」

チハヤこそ表情を崩さなかったが、カラスの言葉にヒビキとミキの顔が輝く。

「この基地に用意させています。あちらへ。」

タラップを降りたカラスが、すぐ近くの格納庫を示す。

「クゥエルの性能チェックは、もう良いの?アレも確か、トゥリアビータ研の開発した機体だったはずだけど。」

「実質上それの引継ぎ、とでも言いましょうか。あの機体の追加ブースターはオークランド研が開発して、本来は今からお見せする機体の為に作られたものです。他の部分の完成が間に合わず、我がトゥリアビータ研がオーガスタ研のクゥエルに装備して性能を見ることにしたのですが……。」

そこでカラスは言葉を切り、

「大尉殿ならお分かりのはずです、クゥエルの機体はあのブースターの最大出力に耐えられません。」

「……やっぱり。」

「いやはや、お恥ずかしい。しかし今からお見せするのは完成品です。」

そう言って、格納庫の扉を開けるカラス。

「ORX-005、ギャプラン。オークランド研もオーガスタ研も実戦に関しては門外漢だったようで、我々に改良の協力を頼んできましてね。テストベッドを用意する代わりに、一機提供を受けました。」

そう言って、カラスはチハヤに鍵を渡した。

格納庫の最奥、そびえるように立つ一機のMS。

頭頂高こそ他のMSとさして変わらないが、961のクゥエルと同じ巨大な背中のブースターと、両腕についたブースターが機体を一回りも二回りも大きく見せている。

「これが……」

巨大な機体を見上げながら、歩み寄るチハヤ。

だが。

「おい、あれが……」

小さな声で、だが広い格納庫にしっかりと響く、整備士達の声。

「ああ、女だけの部隊、本当だったんだな。」

「任せられるのか?」

辺境の連邦軍基地。それでいて、連邦の本丸であるキャリフォルニアベースとジャブローに挟まれ、長くジオンの脅威もなかった場所。

そんなところに配属された兵士達の錬度、士気、質など、推してはかるべきものである。

それを知ってか、チハヤは不快そうな顔をしつつも黙っているし、ヒビキも何かを言おうとしたミキの口を抑える。

「さぁな。」

「耐えられる重力加速が段違いだろう……」

「でも、良い体してるじゃねぇか。なかなかの上物だぜ。」

「本当だ。俺の好みは金髪の方だな。」

「でも見てみろよ、あの女の胸は男」

「不愉快です!」

無機質な作業の音をかき消して響き渡ったのは、チハヤの声。

あーあ、と言わんばかりに額を抑えるヒビキ。

「……チハヤ大尉?」

突然の罵声に、首を傾げるカラス。

「不愉快だと言っているんです!」

チハヤは大仰に振り返り、

「モノアイが気に入りません!なんですかこれは、まるでジオンの機体ではないですか!」

「いや……しかしモノアイは優秀な複合センサーとして……」

「それでもです!」

すさまじい勢いでカラスに歩み寄り、鍵を突っ返す。

「はぁ……」

困り顔で、それを受け取るカラス。

「整備さえしていただければ、クゥエルで十分に戦えます。」

引きつった顔で、チハヤは断言した。

「……分かりました。もともとチューンアップをする予定でしたし、それまでこちらで預かります。」

やれやれ、と溜息をつき、カラスは鍵をポケットにしまった。

「チハヤちゃん……」

「止めないでユキホ。これは私の問題よ。」

「あう……」

ユキホが恐る恐る歩み寄るが、それを睨み返すチハヤ。

そのまま振り向きもせず、チハヤは格納庫の外へ歩いて行った。

「なぁ……本当に大丈夫なのか?」

チハヤが遠くに行ったのを確認して、ヒビキはカラスに耳打ちする。

「機体の実験はブラン・ブルターク少佐の隊でも行われますから、問題ないでしょう。」

小さくため息を付き、肩をすくめるカラス。



「あれは…ヌービアムの他にもガルダが……」

小さな基地の滑走路に、狭ぜましく並ぶ二隻のガルダ。

格納庫を出たチハヤは、もう一機のガルダに歩み寄る。

濃紺のヌービアムに対し、鮮やかな緑のガルダ。

「ガルダ級一番艦、スードリだ。」

その時、後ろから聞こえる低い声。

「ブラン少佐?!」

嬉しそうに微笑み、チハヤは振り返った。

「久しぶりだな、チハヤ・キサラギ。お前が宇宙に上がる前に、ジャブローで会って以来か。」

「はい、お変わり無いようで。」

さっきまでの態度とは打って変わり、チハヤは丁寧に礼をする。

「聞いたぞ、お前もニタ研の実験に付き合わされるらしいな。」

「はぁ……」

「俺もアッシマーだとかいう、よく分からん機体を掴まされた。これから慣らし運転もせにゃならん。」

心底ウンザリしたような顔のブランに、今しがたそれを蹴ってきたとは言えないチハヤ。

「ティターンズに入った途端、人工ニュータイプの実験に付き合わされ、新機体の実験台にされ、その上カラバを追えと来たもんだ。楽なゲームじゃねぇぜ。」

そんなチハヤに気付くはずもなく、ブランは自分の苦難を指折り数える。

「少佐ならできますよ。」

「当たりめぇだ。」

微笑むチハヤに、ブランは鼻を鳴らしてそっぽを向く。

「……それにしても強化人間ってのは、所詮ニタ研で飼われてた実験体みたいなもんだろ。そんなもんに頼るようになったとなれば、連邦もいよいよだな。」

そう言って、自身の制服の襟についた連邦旗章をいじる。

「少佐、そんなこと」

チハヤが顔をしかめるが、

「分かっているよ。宇宙人は、宇宙に居ればいいんだ。」

拳を鳴らすブランに、安心したように微笑んだ。

「お前のところにも強化人間がいるらしいじゃねぇか。せいぜい振り回されないように頑張れよ。」

そして、スードリへと去っていくブラン。

「少佐も、御武運を!」

その後ろ姿にチハヤは踵を揃え、律儀に敬礼した。
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コメント

アッシマーがっ!!
・・・っていう台詞のブランさんがとんでもない暴言をwwwww

2010.02.17  竜巻(悪い大佐tr)  編集

Re: タイトルなし

こらから慣らし運転をして惚れるんですよ(`・ω・´)

2010.02.19  リンゴ・t  編集

ウソM@Sで知って、読ませていただきました!
この作品は最高です!
アイマスを知らないガノタの人たちにも是非呼んでもらいたいですね。

続き、待ってます!

2010.04.03     編集

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プロフィール

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Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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