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林檎亭

(´・ω・`)やぁ。 ようこそ林檎亭へ。

第四話-重力戦線(中編)-【宇宙駆ける蒼い鳥】

2010.01.18

category : 月光蝶である!

「くそっ!」

マコトはヒビキの放つビームを全てかわしこそするが、反撃に連射するビームは完全に的外れな方向に飛んでいく。

「見た目は派手でも!」

盾を構え、追加ブースターの推力を存分に活かし、まっすぐに突っ込んでくるヒビキ。

「ああ、もう!」

ついにマコトは、いっこうに当たらないビームピストルを投げ捨てた。

それを見て、ヒビキもビームライフルを収納する。

両者同時に、ビームサーベルを抜刀。

「うおおおおお!」

「はあああああ!」

交差。

盾を持ったままのヒビキよりも、サーベル一本のマコトの方が一手早かった。

サーベルがクゥエルの盾を切り裂き、さらにはその奥の

「な……!」

空を、切った。

下方には飛び去るド・ダイ、上方には跳び上がったクゥエル。

このままでは背中を取られ、狙い撃ちされる。

そう思ったマコトは、慌てて前方へ距離を取った。

だが、次の瞬間。

「あの状態から反転出来る!?」

全力で前進するディアスに張り付いているクゥエルを見て、恐怖の声を上げるマコト。

「追加ブースターは伊達じゃない!」

全身の血が偏るような凄まじいGを感じながらも、ヒビキはサーベルを振りかぶった。



「あなたは何でチハヤさんを困らせるの!?」

ライフルを構えたまま一定距離を保ち、回り続けるミキとハルカ。

一見すると怠慢な動きだが、動きを止めれば狙い撃たれるという緊張感が装甲越しに張りつめている。

「そこっ!」

ハルカが発砲するが、ミキは急転換して回避した。

「やっぱり読まれてる!」

再び発砲するも、今度は避けられたばかりか的確な反撃が飛んでくる。

だがハルカもそれをなんなく回避、再び睨みあいに。

「「やっぱり……ニュータイプ!」」

見つけたくなかった共通点。だが、異常とも言える反応速度は明らかにニュータイプのそれである。

「チハヤさんは、チハヤさんは、いつも頑張ってるの!」

再び飛んできたビームをかわし、ミキが叫ぶ。

「チハヤさんのお友達なら、なんでチハヤさんのことを助けてあげないの!?」

「あたし……だって……!」

叫び、やけくそ気味にビームライフルを放つハルカ。

「う……!」

ハルカから放たれる気迫。反応が遅れ、ミキのド・ダイをビームがかすめる。

損傷、バランスを崩すド・ダイ。

「これで……」

その隙にハルカはライフルの銃口を、マコトに向かってサーベルを振りかぶるヒビキに向けた。

「ぐっ……」

ヒビキは慌てて上昇するが、ビームが右脚を直撃する。

「うわあああっ!」

「ヒビキ!」

墜落するヒビキを追うミキ。

だがすぐに、ヒビキも体勢を立て直す。

「ヒビキ、大丈夫なの!?」

「なんとか……」

ミキのド・ダイに掴まり、爆発を避けて火花を散らす右脚を切り離す。

「戦えそうにはないけど、な……」

「いったん船に帰るの!」

そう言って、ヌービアムへと踵を返すミキ。

「逃げる?!」

ハルカが追いかけようとするが、

「深追いしない方が良い!」

マコトはそれを引き留めた。

「でも……」

「数が違いすぎるし、あいつらと戦い続けたらこっちが不利だよ!」

瞬間、ビームがハルカとマコトの間を走り抜ける。

言葉通り、目の前にはまだ多くのハイザックが。

「ああ、もう!」

大きく首を振り、ハルカはビームライフルを撃つ。ビームはハイザックのうちの一機の腹部を直撃、撃墜した。





[ヒビキ機、ミキ機帰還!ミキ機は無傷ですが、ヒビキ機は右足を爆損していて戦闘継続は不可能です!]

[戦力損耗率算出中……再び味方が各個撃破されていっています!]

艦橋からの報告を聞きながら、カラスは格納庫へ続く廊下を歩いていた。

「被弾していない方の機体をすぐに出させろ。リファの様子とギャプランの整備状況は!」

[リファは出撃可能ですが、ギャプランは後方モニターの問題がまだ解決していません。それに伴って1G下ではバランサーにも問題が……]

オペレーターの言葉にカラスは小さく舌打ち、

「……やむを得ん、撤退だ。信号弾を打ち上げろ。」

静かに言った。

[了解しました。]

「全く……何がエース小隊か。」

格納庫の扉を開け、吐き捨てるように言うカラス。

「どうでしたか、初の重力下戦は。」

苛立ちで歪んでいた顔を整え、クゥエルを降りていたミキとヒビキにカラスは言った。

「ごめんなさいなの……」

「すまない……」

うなだれる二人。

「困りますよ、ティターンズきってのエース小隊と名高い貴女達がそんなことでは。」

腕を組み言うカラスに、ヒビキとミキは何も言えない。

「次からの戦果を、期待しています。」

そう言い放ち、ブリッジへと踵を返すカラス。

うつむく二人を尻目にハイザック部隊は次々と着艦し、ヌービアムは進路を変えた。




【一時間前】

空力摩擦で機体は小刻みに揺れ、少し手を伸ばせばショックコーンの外のプラズマの嵐に触れられそうな状況。

チハヤは、ユキホの大気圏突入艇、コスモスの上に乗って成層圏を降下していた。

「本当にありがとう、ユキホ。」

機体の損傷をチェックしながら、チハヤが言う。

「ううん、大丈夫。」

微笑み、高度計と機外温度を確認しながらユキホは言った。

「突入回廊に入る前の急激な機動……迂濶だったわ……」

頭を抱え、唸るチハヤ。

「チハヤちゃん……」

完璧主義のチハヤにとって、その行動は確かに迂濶であっただろう。だが、問題はそこではないはず。

……触れない方が、良いのかな……?

ハルカの名を出すべきか否か、ユキホが逡巡していると。

「で、ユキホ。このままだとどこに降下することになるの?」

妙に明るいチハヤの声。

……やっぱり、無理をしている。

「……ユキホ?どうしたの?」

……そんなことより、ハルカちゃんは? そう聞くことができない自分が歯がゆい。

「……ううん、大丈夫。」

……結局、自分にはどうすることもできないのか。

ユキホは諦めたように首を振ると、

「えーと……このままだと、緯度…西経…ジャブロー直上で対流圏に出られるはず。」

予想航路を接触回線で転送した。

「ジャブローに?……降りてからどうしようか心配してたけど、これなら安心ね。」

ユキホから送られてきた予想航路。通常の突入艇ならジャブローから大きく外れてアンデス山脈に突っ込む航路だが、サブフライトシステムとしても機能するコスモスなら問題はない。

「うん、オーバーマスターにも降下先の部隊にも、すぐに連絡がつくと思う。」

ユキホもコスモスを大気圏突入用モードから大気圏航行用のそれに切り替え、対流圏突入に備える。

機体を包んでいたプラズマが晴れていき、眼下にジャブローの密林が広がる。

「何……これ……?」

……はずだった。

下に広がっていたのは、一面の雲海。

それも、真っ黒な。

「雨雲……いや、違う……」

雨雲が黒いのは、太陽光のを遮っているから。遮る物の無い太陽光が直接降り注いでいる水滴と氷塊の集合が、黒いはずなど。

「戦闘のせい……?」

ユキホが呟くが、

「まさか、エゥーゴのMSが全滅したってこんなことには……」

ひきつった顔で首を振るチハヤ。

「それだけじゃない、凄い上昇気流……」

ユキホの言葉通り、先ほどから大気圏突入の小刻みなそれとは違う大きな揺れが機体を襲っている。

「突破できるかしら?」

「たぶん出来るけど……念のためにブースターの準備はしておいて。」

「分かった。」

機体制御系統を大気圏モードに切り替え、操縦桿を握り直すチハヤ。

そして、ゆっくりと雲に突っ込むコスモス。

機体の周りが黒い煙に包まれる。見ると、ところどころに火の粉すら。上昇気流に翻弄されそうになるコスモスを、ユキホは必死に抑えつけた。

それでもなお収まらない激しい乱高下。視界も無いために、振り落とされれば頼りになるのは機体の高度計と水平計のみ。チハヤは必死でコスモスにしがみつく。

「あと……少し!」

ついに雲を突き抜けるコスモス。

眼下に広がっていたのは、一面の焼け野原。

かつてジャブローの中心地があった場所を中心に巨大なクレーターが出来ており、アマゾンの大河が流れ込んで湖となっていた。

未だに淵の部分は高熱なのか、蒸気の立ち上る湖。

周辺の木々に火は燃え広がり続け、止まる気配は見えない。

煤煙と蒸気、それらが混じりあってそびえ立つ、きのこ雲。

地獄絵図とはこのことか。

「気化弾頭……なのかな。」

ユキホがゆっくりとヘルメットを外そうとするが、

「待って!」

チハヤが叫ぶ。

「ヘルメットを外してはだめ。バイザーも上げないで、気密をもう一度確認して。」

「チハヤ……ちゃん?」

怪訝に、モニターに映るチハヤの顔を見るユキホ。

そのチハヤの視線の先、唸りを上げる、あるメーター。

もともとコロニー治安維持用に作られたクゥエル。支給された時は数々のセンサー類に驚いたものだが、

その中で今、耳障りな唸りを上げているメーター。

α、β、γの3つの表示。

「核……これもエゥーゴの仕業……」

ガイガーカウンター。

「……とりあえず、最寄りの基地に行こう。」

震えるユキホの言葉に、チハヤは歯ぎしりで返した。
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リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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