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林檎亭

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第六話-月に愛、大地に火(前編)-【Blue Arcadia】

2011.01.25

category : Blue Arcadia 本編

【月面都市フォン・ブラウン アームストロング広場】

「イオリちゃん!」

広場の中心にある噴水、その前に立つイオリにヤヨイが駆け寄る。

「ヤヨイ!遅いじゃない!」

微笑み、手を振るイオリ。

「ごめんね、イオリちゃん、遅くなっちゃって。」

「あれー!いおりんがデコちゃんじゃなくなってる!」

ヤヨイの後ろ、アズサとアミ、マミが手を振り返す。

「デコちゃん言うな!いつまでも私も子供じゃないの!」

イオリが、その額を隠す切りそろえられた髪をかき上げて言った。

「本当、1年ぶりかしら?元気そうで何よりだわ。」

微笑むアズサ。

「アズサも元気そうね。」

「お陰さまで。……月の様子はどう?」

微笑から一転、アズサの表情は真剣なものになる。

「……ティターンズもちょくちょく来るけど、まだまだ月はエゥーゴ寄りよ。」

声を潜めるイオリ。

「ティターンズにMSを一機種納品したけど、リック・ディアスに比べれば性能は低いものだし。」

「助かるわ。手に入れたムーバブルフレームの情報から、新しくMSを作ってくれているとも聞くし。」

言って、アズサは噴水に腰掛けた。

「上層部は儲かればいいと思っているから、そんな風に思うことはないわ。」

イオリもその隣に座り、肩をすくめる。

「アズサお姉ちゃん、ちょっと他見てきていい?」

真剣な表情で話し始めた二人を見て、アミが手を上げた。

「良いわよー、迷子にならないようにね。」

「ならないよ!ほら、ヤヨイっち行こう!」

「ああ、アミ、マミ!」

そう言ってヤヨイの手を取ったアミとマミを、イオリは呼び止める。

「何、いおりん?」

「そちらに送るモビルスーツの設計書を見せたいの。7時までには戻れる?」

「りょーかい!楽しみにしてるー!」

そう言って、広場の外へと消えていく3人。

「どんなモビルスーツをくれるのかしら?」

それに手を振りながら、アズサは言った。

「リック・ディアス数機の追加納入と、あとは新型をいくつか。」

指折り数えるイオリ。

「リック・ディアスはありがたいけど、他の機体は……?」

アズサが、首をかしげた。

「体の良いモルモットと思ったらごめんね、」

目を伏せるイオリ、

「とんでもないわ。戦力をくれるだけありがたいもの。」

アズサが、慌てて首を振る。

「カミーユ・ビダン、知ってる?」

「Mk=Ⅱ強奪に手を貸してくれた民間人……だったかしら?」

「そう、その少年が設計したMSがあるの。」

「民間人が……?」

「フランクリン大尉とヒルダ中尉の息子よ。こちらでもちゃんと設計図のチェックはしているし、問題ないわ。」

疑わしげに首を傾げるアズサに、イオリは言った。

「百式、あれもそのMSの試作機だと言ったら、信じてくれる?」

「んー、話は分かるけど……そのMS、名前はなんていうの?」

あくまで半信半疑、と顎に指を当てるアズサ。

イオリはあたりを少し見回し、口を開いた。

「……『Ζ』。」




「久しぶり!アイちゃん!」

ガルダ級『インベル』格納庫。ハルカが、アイに抱きついた。

「お久しぶりですっ!ハルカさん!」

抱きつき返すアイ。

「ハルカさん、お久しぶり?」

一足遅れて格納庫に滑り込んだガードカスタムのコックピットから、エリが顔を出した。

「エリちゃんも!大丈夫だった?」

「機体はやられちゃったけど、私は大丈夫です。」

エリが昇降ロープを滑り降り、ハルカのもとに駆け寄る。

「良かった!リョウくんは?あと、ユメコちゃん!」

エリにも抱きつくハルカ、エリはぎこちなく抱き返しながら、

「ええと多分、今、引き揚げられてる?」

格納庫のハッチを見やった。

言うとおり、クレーンが唸りをあげている。

ゆっくりと、海水を滴らせたジム・カスタムが姿を表した。

「うわぁ、ボロボロ。」

リック・ディアスを固定し終えたマコトが言うとおり、ジム・カスタムの肩は外れ、全身のバーニアは焼き付き、当然、足の各関節も過負荷で使いものにならない状態。

「リョウさん、大丈夫なんでしょうか?」

「リョウくんならきっと大丈夫だよ、迎えに行こう!」

走りだすハルカ、三人はあとを追う。

「オーライ、オーライ!そこまでで良いデス!」

クレーンの下、誘導する金髪の少女。

「サイネリア、お疲れ様。」

エリがその肩に手を置いた。

だが、金髪の彼女、サイネリアはその手を払い除け、

「センパイ!センパイこそお疲れ様デス!」

振り返って抱きついた。

「ううん、いっぱい壊しちゃったからまたお願い、ね。」

「センパイのためなら何のそのデス!」

やんわりと肩を抱くエリ、サイネリアはエリの肩に頭を押し付けるように食いつく。

「ありがとう、サイネリア。」

やんわりとサイネリアを引きはなし、エリは回収されたジム・カスタムに歩み寄った。

「リョウさん、大丈夫ー?」

空気圧の軽い音と共に、コックピットハッチが開く。

「ふはぁ、ようやく広くなった。」

「ちょっとリョウ、早く出なさいよ!」

「いや、オザキさんが出てくれないと……」

「え、私?」

コックピットの中でひしめき合う4人の人影。

「オザキさん、大丈夫?」

「エリ!お疲れ。」

「なんだ、ロン毛まで一緒だったんデスカ。引き揚げるんじゃ無かったデス。」

コックピットの中のオザキを見て、肩をすくめるサイネリア。

「あら、私は感謝してるわよ、スズキさん。」

対してオザキも、開いたハッチに足をかけていった。

「ファミリーネームで呼ぶなって何度言ったら分かるんデスか!!」

猛然と手に持っていたレンチを投げつけるサイネリア、風を切るレンチはコックピットの縁に弾かれ、あさっての方向に飛んで行く。

「サイネリアさん、落ち着いて……」

コックピットを降りたリョウが微笑み、なだめにかかるが、

「うるさいデス!モヤシ野郎に何が分かるんですか!」

サイネリアが今度はトーチガンをリョウに向けた。

「サイネリア、落ち着いて、ね?」

「むむむ……」

エリにその腕を掴まれ、渋々とトーチガンを腰に戻すサイネリア。

「皆さんお揃いですね。無事で何よりです。」

その時、格納庫入り口からの声、ジョセフだ。

「整列!」

ジョセフを見たリョウの掛け声。

慌ててコックピットを飛び降りるオザキ、マナミ、ユメコ。

ジョセフの前、一列に並び、

「リョウ・アキヅキ少尉以下モビルスーツパイロット3名!」

「レイコ・オザキ以下オペレーター2名!」

「「カラバ、ギョクト隊への配属を受領いたしました!!」」

敬礼した。

「ご迷惑をおかけすることになると思いますが、また、よろしくお願いします。」

深々と頭を下げるジョセフ。

「もはや我々は、正義の味方ではありません。何があっても、保障は出来ませんが……」

「僕は、きっと、僕達は、ジョセフさんのやることが正しいって思っています。」

一歩前へ出るリョウ。アイも、エリも、マナミも、オザキも。

「……ありがとうございます。」

再び深く頭を下げるジョセフ。彼の回りだけ、音がないかのような立ち居振舞いだ。

「……盛り上がってるとこ悪いんだけど。」

その沈黙を突き破る、ユメコの不機嫌極まりない声。

「あ、ユメコちゃん……」

リョウが、しまった、と額に手を当てる。

「この船の操艦は、誰がやってるの?」

「え?」

「だから、この船の操艦は誰がやってるの、って。あのMAに襲われたのは想定外としても、被弾しすぎよ。MSの突破を防ぐのはMS隊の役目だけど、それまで帰る場所を守るのは船乗りの役目なの。」

ユメコが腕を組み、胸を張り言う。

「操艦は……ナラバさんがやっています。」

「そいつを操舵手から下ろしなさい。私がやるわ。」

ジョセフの返事に、ユメコは間髪入れずに宣言した。

「ユメコちゃん……」

顔をほころばせるリョウ、

「勘違いしないで!船乗りとしてガルダ級の操艦をしてみたいだけよ!」

むっつり顔でユメコは言うが、

「ありがとう、ユメコちゃん!」

リョウは聞いていない。満面の笑みで、ユメコの手を握った。

「勘違いしときなさいよ、もう。」

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プロフィール

リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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