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林檎亭

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第五話-再開の風(後編)-【Blue Arcadia】

2011.01.16

category : Blue Arcadia 本編

「こいつ、ビームを真後ろに撃つ!?」

「パナマで素直に補給受けといたら、こんなことにならなかったと思うんだけど!」

自分の後方に群がるネモを見て、リファが言った。

「連邦軍にも、いろいろと事情があるのですよ。……索敵情報を送ります。お母様の名前に泥を塗る事の無いよう。」

「分かってるって!」

「ここは私が支えます、ガルダを。」

カラスのアイザックの放った2発のミサイルがそれぞれ同時に、狙いすましたかのようにネモを撃墜した。

それを見たギャプランは再び反転、インベルの方へと突進する。

「しまった!」

ハルカが振り返った時には既に、凄まじいスピードで飛び去るギャプランはリック・ディアスの推力ではとても追いつけない距離にいた。

「両舷、対空砲座開いてください。敵のモビルアーマーを近づけてはなりません!」

インベルの艦橋で、ジョセフが声を張り上げる。

ほぼ同時に展開される弾幕。だが、ガルダ級の巨体を覆い隠すには届かない。

「まだ、来ないのですか!」

「無駄無駄!つかまえたよ!」

まともな人間ならとても耐えられないであろう激しい機動で弾幕をかわし、リファはインベルの艦橋をロックオンした。

「こちらもね。」

瞬間。

「何!?」

一筋の閃光が、ギャプランの機首を貫いた。

「ビームライフル!増援なのか!?」

急旋回、射線の源に向き直るギャプラン。

「遅いって!」

今度は背中のブースターを、光が貫く。

「ジム・カスタム……こんな骨董品に!」

黒煙を吹き上げるギャプラン、ほうぼうの体になりながらもリファは体勢を立て直した。

リョウのジム・カスタムが、ライフルを構え突進する。

[リファ・バスタルト!それでも強化人間ですか!]

高度を下げるギャプラン、通信から聞こえる、カラスの苛立った声。

「撤退するしかないのか!」

爆発しつつあるブースターを取り外し、反転。

「こちらリョウ・アキヅキ、お待たせしました!」

「待たされましたよ、アキヅキさん!このまま我が艦の援護を続けてください!」

「了解です、エリちゃん!」

そして、リョウが振り返った遥か後方。

「あのアイザック、戦況を全部把握してる?」

飛び立ったミディアから少し離れた場所、ジム・ガードカスタムのコックピットでエリは言った。

旧式のコックピットの肘掛に、ノートパソコンのような端末を取り付けたもの。

その端末に映るは、無数の文字列。

「レーザー回線割り込み開始。」

その言葉と同時に、メインモニターに現れるターゲットサイト。アイザックからのデータを元に、次々とロックオンしていく。

「レーザー回線……?なんだこれは、私は回線など開いていないぞ!」

アイザックに乗るカラスもそれに気づき、抵抗しようとするが、

「それは……無理?」

「ええい、これ以上は!」

ハッキングを止められず、自身の巨大な後頭部のアンテナにビームライフルを突きつけた。

「あ……」

「これで、索敵情報は盗めまい!」

発砲、巨大なアンテナが四散する。

だが。

「でも、もう充分。」

ガードカスタムの異名に相応しい巨大な盾を脇におき、ふくらはぎに装着されていた二丁のロケットランチャーを肩に担ぐ。

さらに脛に装着されたミサイルポッドの砲門が、腰のグレネードランチャーが展開。

「この距離からなら……マルチロック出来る。」

狙撃戦に特化したジム・スナイパーカスタムを素体に、重装甲を兼ね備えたガードカスタムタイプ。

さらに情報処理能力を限界まで強化したエリの機体が、十は固い数のハイザックをその砲口で捉えた。

常識を超えた数の弾頭が空を駆け、煙幕がエリのジムを包む。

「なんだぁ!?」

突拍子の無い攻撃に呆気に取られ、一番近くにいたハイザックは直撃を受け爆散。

「落ち着きなさい!ミノフスキー粒子が濃いのに、ミサイルが誘導するはずが無いでしょう!」

ミサイルの雨をかいくぐり、チハヤが言う。

「た、確かに……うおあああっ!」

だがミサイルのうちの一基が急カーブを描き、ハイザックに直撃した。

「赤外線誘導のミサイルが混じっている!?」

ミサイルに翻弄され、次々と撃破されて行くハイザック。

「ええい、宇宙人かぶれが調子にのるな!」

ビーム・マシンガンでミサイルを迎撃するカラス。

「カラス、攻撃の元を叩けば!ネモの面倒はミキが見る!」

チハヤが機体を反転させ、射線の元へ向かった。

「分かっています!」

カラスもハイザックを向かわせる。

「ガードカスタムタイプ、骨董品も骨董品じゃない!」

ハイザックに先んじて機体を見たチハヤが、驚きの声をあげた。

「見くびらないで!」

両手のロケットランチャーを投げ捨て、盾を再び構えるエリ。

盾に取り付けられた砲門が火を噴き、無数の弾丸がクゥエルを襲う。

だがチハヤは弾幕の中、盾を構えて突進。

肉薄、抜刀、サーベルを振りかぶる。

「くっ!」

盾を前に突き出し、サーベルを受け止めるエリ。

「弾薬満載の盾でサーベルを受け止めるなんて、大した度胸ね!」

「ガードカスタムは伊達じゃない!」

右手のサーベルユニットから光の刃が伸長し、千早のサーベルを跳ね除ける。

「自分だけ守れても!ハイザック部隊!後方のミディアを!」

[了解!]

鍔迫り合いを続けるチハヤとエリの脇を、ハイザック達が駆け抜けて行く。

「まだ!」

ガードカスタムの肩のランチャーが展開、

「そんなところにまで!?」

放たれる超音速のミサイルに、チハヤは退避行動を取る。

「それだけじゃない!アイちゃん!」

「突撃!」

瞬間、隣を駆け抜けようとしていたハイザックが巨大なビームに貫かれた。

「なんだ!?」

他のハイザックが慌てて盾を構えるが、耐ビーム加工を施された盾ごと貫く強力なビーム光の前に、次々と撃破されていく。

「さすが、サイネリアさんのチューンアップは凄いです!」

アイのジム・キャノンⅡが、ハイザックの群れを走り抜ける。

「お前ら、ジム・キャノンごときにビビるんじゃない!」

だが多勢に無勢、ハイザック達はエリとアイの後ろに抜けていく。

「ちょっと!アンタたちしっかり守りなさいよ!」

母艦たるミディア改に詰め寄るハイザックに、ユメコが悲鳴を上げた。

「ユ、ユメコちゃん、なんとかならないんですか?」

「対空砲火!」

艦橋の両舷についた対空砲が火を噴くが、ハイザックはお構いなしに突っ込んでくる。

その手に持ったビームライフルを壊すことこそ出来たが、

「面倒な真似を!」

ハイザックは空いた両手を組み、艦橋に叩きつけんと振り上げた。

「いやぁぁぁぁっ!」

頭を抱え、うずくまるユメコ。

「ユメコちゃん、捕まって!オザキさんと、マナミさんも!」

リョウのジム・カスタムが、上方から全速接近。

「敵!? いや、だが、遅い!」

「迷ってくれた!」

ライフルを投げ捨て、ビームサーベルを引き抜く。

「ブースターも落下速度で十分だ!エネルギー配分変更!ビームサーベル、最大出力っ!」

光の刃が伸長、モビルスーツの全長を超えたサーベルが、ミディアの機首を斬り取った。

落下する艦橋、ハイザックの両手は空を切る。

「ド・ダイ!持つか!?」

下へ回り込み、艦橋を受け止めるリョウ。

モビルスーツ2機を支える推力とフルチューンされたジム・カスタムのバーニアがが、ゆっくりと落下速度を緩めていく。

悲鳴をあげるバーニア、凄まじい振動。このままバーニアが爆発すれば、自分もユメコもただでは済まない。

「でも……いっけえええええええええ!」

パネルを操作、リミッター解除のパスワードを叩き込み、スロットルを限界まで開く。

水面すれすれでバックパックが小規模な爆発を起こし、ド・ダイとミディアの艦橋は着水した。

「ユメコちゃん、大丈夫?」

艦橋の上に這い上がり、リョウは言った。

「なんとかね……あなたは?」

「大丈夫。まだ敵はいるけど……」

「そのナリじゃ戦えそうにないわね。」

「ごめん。」

言うとおり、リョウのジム・カスタムは限界を超えた全力噴射にバーニアは焼け爛れ、過負荷によって関節からは火花が散り、何より武装も無い状態。

使い物にならなくなったバーニアをパージ、艦橋の隣に浮くド・ダイにリョウは腰かけた。



「リョウさんは、もう戦えない!?」

チハヤと鍔迫り合いを続けるエリが、海面に浮くジム・カスタムを見て言った。

「リョウ?リョウ?その声は、もしかしてミズタニさん?」

「やっぱり、チハヤさん!」

再び、エリのサーベルがチハヤを跳ね除ける。

「あなたまで宇宙人かぶれの味方を!」

「ティターンズは私兵だから!」

「宇宙移民は、自治権回復などと言っておきながら、一年戦争でそれ以上のものを地球から奪おうとして、そして未だに懲りていない!武力を使う!だからティターンズのような強権が必要で、それが私兵に見えるだけなのよ!」

チハヤはバルカンを掃射、ガードカスタムのビームサーベルユニットを破壊する。

「まだまだぁぁっ!」

盾を両手で掴むエリ。損傷した右手が悲鳴を上げるが、構ってはいられない。

マウントポジションをとろうと上昇するチハヤに、巨大な盾を叩きつけた。

「……っ!」

盾はコックピットに直撃、激しい衝撃、振動に頭が揺さぶられ、反転する天地に吐き気がする。

ド・ダイから引きはがされ、落下していくチハヤ。

「ハッチが!」

姿勢制御にこそ成功するが、コックピットのハッチが潰され、前方の映像が乱れている。

ビームライフルの標準を定めようとするが、乱れた映像のせいで微調整も叶わない。

「戦えない、なんて!」

ド・ダイを乗り捨て反転、ヌービアムへと引き返すチハヤ。

「良かった、帰ってくれた……」

元々損傷していたところに盾の重さが加わり、潰れた右腕を見てエリは言った。

「大丈夫ですかっ、エリさん!」

「うん、ありがとう。それよりも。」

「敵を追い払うんですね、分かります!」

未だ迫り来る敵に向かって、ビームを連射するアイ。

「リョウさんやエリさんに、寄せるわけにはいきませんっ!」

2門のビームキャノンがそれぞれの方向を向き、弾幕を張る。

「加勢する!」

十字を切るように、閃光が走った。

「ハルカさん!」

「やっぱり、アイちゃん!」

ハルカのリック・ディアスが、ハイザックを狙い打つ。

「本当に、しつこい!」

ハルカの放つビームが、次々とハイザックを撃墜していく。

「エース達は何をしている!全員後退しただと!?」

損傷した頭部を抱え、自身のアイザックも後退させるカラス。

ヌービアムの前部デッキに着艦し、

「撤退の信号弾だ!これだけの数になってしまえば、数で押すこともできん!」

ヌービアムから撤退の発光信号が打ち上げられる。

「発光信号?」

逡巡の後、踵を返すハイザック達。

「撤退……してくれた……。」

銃を下ろし、進路を変えるヌービアムを見るハルカ。

「やれやれ、ですな。」

インベルの艦橋でも、ジョセフが気張っていた肩を落とした。

「高度を下げます。不時着した、リョウさん達を迎えに行かなくてはなりません。」

「了解、インベル、降下します。」

ゆっくりと高度を下げていくインベル。

その背中を、沈まんとする夕日が照らしていた。
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プロフィール

リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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