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林檎亭

(´・ω・`)やぁ。 ようこそ林檎亭へ。

第三話-高度五万米(中編)-【宇宙駆ける蒼い鳥】

2009.12.03

category : 月光蝶である!

「作戦開始時刻まで、あと5、4、3、2、1」

モンデンキント艦橋の時計と共に、ヤヨイがカウントする。

00:00

「作戦開始、全エゥーゴ艦隊は双曲線軌道へ加速開始!本艦は長蛇円軌道へ復帰可能なコースからMS隊の降下を援護しますっ!」

「機関最大、MS部隊、発進準備!」

「機関最大、出力臨界まで上昇。軌道変更、キュウイチナナニイ!」

メインモニターに地球の模式3Dグラフィックと、超蛇円、双曲線、艦の現行軌道が表示される。

[MS部隊、発進準備。ハルカさん、マコトさん、準備は良いですか?]

ヤヨイの指がパネルの上で舞い、ハルカとマコトを画面に呼び出す。

「あたしはいつでも大丈夫!」

リック・ディアスのコックピット、ハルカが親指を上げた。

「こっちも大丈夫だよ!さっすがリツコの整備!」

マコトも、いつものガッツポーズ。

「一応、連邦軍艦隊が突入を邪魔できないような突入路を取ってるはずなので、出番が無い方が良いんですが……」

うつむき、ヤヨイは言う。

するとマコトは笑って、

「連邦のことだし、案外楽に騙されて……」

[軌道面南より追尾する艦、二隻!ティターンズのボスニアとアレキサンドリアです!]

「マジ!?」

コトリの報告に、あわてて操縦幹を握りなおすマコト。

[MSと思しき光を確認、確認出来るだけでも十機以上は!]

[ハルカちゃん、マコトちゃん、出撃、良い?]

「はい!」
「もちろんです!ヤヨイ!」

「了解です!ハルカ機、マコト機、射出準備!」

MSハンガーからエレベーターに乗って、バリュートを装備したハルカとマコトのリック・ディアスがカタパルトに現れる。

[突入限界点はもちろん、第二波に備えての補給も考えると、かなりギリギリでの戦いになるわ。二人とも、回収時間と高度に気をつけて。]

「わかってます!」

「進路クリアー、発進どうぞ!」

「ハルカ機、行きます!」
「マコト機、発進!」

火花を散らし、カタパルトが二機を押し出す。

[敵は味方のMS突入部隊の後ろを取っています!突入部隊は陣形を崩すことができないので、援護してあげてください!]

「分かった、ありがとうヤヨイ!」

[……っ、最後尾のシチリアが食われました!]

「展開が早い!急いで、ディアス!」

スラスター全開、降下部隊に追いつくハルカ。

「こちら765部隊、ハルカ・アマミ!突入を援護します!」

追撃部隊を食いとどめようと闘う濃紺のリック・ディアスに、ハルカが言う。

「こちらアーガマのエマ・シーン。援護感謝します。」

リック・ディアスはこちらを一瞥、中の女性が言った。

「はい!」

エマに並び、背中のビームピストルを二丁拳銃にして弾幕を張るハルカ。

「エマ……さんでしたっけ、突入部隊なんでしょう?ここは私が支えます!」

「そんな、あなただけには……」

「でりゃああああああああああああっ!」

その時、敵部隊の一機がマコト機に殴り飛ばされる。

「味方も居ます、大丈夫です!」

マコトに気をとられた敵機に、ハルカが二丁拳銃を撃つ。

光の束は二発とも命中、慌てて回避運動に入ろうとした敵を、再びマコトの拳が撃ち抜いた。

「凄い………!」

その連携に、呆気にとられるエマ。

「エマさん、ここは大丈夫です、だから!」

「分かったわ!」

そう言って、エマが後退しようとした時。

「ティターンズの暴虐を抑えるために、ジャブローを叩く。………分からんでもない、が!」

彼方からビームが飛んできて、エマ機の肩を貫いた。

「きゃああああああっ!」

「エマさん?!」

慌てて火線に目を向けると、凄まじい速さで接近する機体が。

「ティターンズには、まだ使い道があるのでね!」

「モビルアーマー?!」

鋭く尖った先端に、ラッパのようなブースターを2機積んだ機体。

ハルカが発砲するが、その機体は竜巻のような機動で全て回避する。

「ダメ、早すぎる!」

「だったら近づいて!」

マコトがブースター全開で接近、拳を振りかぶった。

「ナメるな、小僧!」

「ボクは女だーッ!」

怒り心頭のマコトが、まさに拳を叩き込もうという瞬間。

モビルアーマーが、モビルスーツに変型した。

「こいつ、変型した?!」

後部の4つのブースターのうち、2つが足になり、2つが肩のビーム砲に、先頭部分が胸部装甲に。

そして、その巨大な足がマコト機を蹴り飛ばす。

「マコト!」

「ぐぅぅっ……ボクは大丈夫!今のうちに……」

「…分かった!」

腰から試作ライフルを取り出し、回し蹴りを決めた機体に狙いを定めるハルカ。

その時、ハルカの体を走り抜ける違和感。

水の中に入って全身が圧迫されるような、心臓が握られているような。

「この程度の……プレッシャー!」

圧迫感を払いのけ、ハルカは引き金を引いた。

「……言葉が走った!?」

その膨大な推力を以て回避しようとしたコックピットの男の手が、止まる。

放たれた光の束が、肩のビーム砲を貫いた。

「ええい!この私がプレッシャーに押されるとは!」

反撃しようとするが、ビーム砲の損傷が激しくかなわない。

「これで、決める!」

ハルカが再び狙いを定めるが、

「くっ……重力の井戸に引かれるのはゴメンだ!」

敵機は反転、彼方へ消えた。

「行って………くれた?」

軌道に残る光の筋を追いながら、ハルカは言った。

「なんだったんだろう……」

マコトも、自機の損害を確認しながら言う。

「ありがとう、助かったわ。」

ボロボロになったエマ機が、ハルカ機の肩を掴んで言った。

「でも、その状態じゃあ。」

「地球に降りれなかったのは残念だけど、それは私の力不足。構わないわ。」

「はい………」

うつむくハルカ。

[ハルカさん、マコトさん、突入部隊全機が大気圏突入軌道に乗りました!こちらの大気圏突入作戦まであと一時間、いったん戻ってください!]

モンデンキント、ヤヨイからの通信。

「MS隊の被害状況は?」

「想定の範囲内、作戦に支障ありません!ハルカさんのおかげですっ!」

「分かった、今から帰還します!」





「敵MS部隊の突入を許してしまったというのですか!?」

オーバーマスター艦橋、ノーマルスーツに身を包んだチハヤがシジョウに食って掛かる。

「残念ながら。敵の被害は1割にもみたないと。」

艦長席に座ったまま、シジョウは言った。

「だから私達を作戦から外すなんて……!」

「見苦しい。おやめなさい、チハヤ・キサラギ。」

「しかし!」

「貴方達の戦力は、これから激化していくエゥーゴとの対決に欠かせないものです。それを、事故のような死因が多い大気圏突入作戦で使うわけにはいきません。」

「くっ……」

「分かったなら、持ち場につきなさい。もう発進でしょう。」

「………分かりました。」

しかし、それにしても……

チハヤが去り、艦橋のドアが閉まるのを見て、シジョウは思う。

グリプスへの本拠移転を進めている今、あまり攻撃を受けるのは得策ではないはず。我々を除け者にしてまでジャブロー防衛の人員を減らすとは………やはり、不自然。

………悩んでいても仕方ありませんね。

自嘲気味に笑い、顔を上げた。

「大気圏突入作戦、開始!」

[軌道変更開始!クゥエルへのバリュート装備及び大気圏突入艇準備完了!]

[MS部隊、大気圏突入まで15分!発進準備!]

オーバーマスターのオペレーターの声と共に、カタパルトに出現する3機のクゥエル。

眼下には青い地球、クゥエルの背中には不恰好なバリュートが、ブースターを避けるように少しずらして装備されている。

[今のところ周辺に敵影はありませんが、油断はしないで下さい。万一会敵しても交戦はなるべく避け、大気圏降下を最優先に。]

「了解です、シジョウ中佐。」

クゥエルのコックピットパネルを操作しながら、チハヤは言った。

「バリュートシステムオールグリーン、これより大気圏突入ミッションを開始します。………ミキ、ヒビキ、準備は良い?」

「もちろんなの!」

「大丈夫だぞ!」

二人の元気な返事にチハヤは頷き、

「クゥエル、チハヤ・キサラギ。」
「ミキ・ホシイ!」
「ガナハ・ヒビキ!」

「フェアリー隊、発進!」

「「「いきます!」」」

カタパルトが火花を散らし、クゥエルを押し出す。

[続いて、ミント級大気圏突入艇『コスモス・コスモス』、発進準備!ユキホ少尉、準備はよろしいですか?]

カタパルトに出現する、平たいシルエットの舟。

旧ジオン軍のコムサイよりも一回り小さく、かといってミルク級の一人乗り用という訳でもない。

大気圏突入用のド・ダイといったところか。

「大丈夫ですっ!先行のチハ………もといフェアリー隊捕捉、軌道追従設定完了!」

その中、クルー用のノーマルスーツを着たユキホが言った。

[ユキホ、地上での彼女たちのサポートをお願いします。]

「了解です、中佐!」

[進路オールグリーン、コスモス、発進させます!]

膨大な推力で、大気圏突入艇コスモスが発進する。

「大気圏突入軌道上に、敵影なし。」

「とりあえずは、何事も……」

小さくため息をつき、席に座りなおすシジョウ。

「もとい!」

警報音と共に、オペレーターが叫んだ。

「正面よりこちらに接近する艦影!今まで熱を潜めていたようです!」

「急いで解析を!」

「……解析完了、ルナツーで交戦した艦と思われます!」

[それ、本当!?]

オペレーターの報告に、チハヤが割って入る。

「はい、熱紋から見て間違いないかと……」

「MSらしき光を確認、数3!」

[チハヤさん、またアイツが来るの!]

光を見て、ミキが叫んだ。

「ハルカ……!」
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プロフィール

リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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