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林檎亭

(´・ω・`)やぁ。 ようこそ林檎亭へ。

第三話-高度五万米(前編)-【宇宙駆ける蒼い鳥】

2009.12.01

category : 月光蝶である!


「オーバーマスター、発進。」

艦長席に座り、シジョウが手を前に振りかざした。

[オーバーマスター発進!これより、地球衛星軌道へと向かいます!]

ユキホがパネルを操作、オーバーマスターの巨大なシルエットがルナツーを離れていく。

「中佐、本当に我々はこれで良いんですか?」

チハヤが艦長席に手をかけ言った。

「と、言うと?」

「今回の任務です!敵のジャブロー奇襲を見過ごし、3時間後にパナマ地侠に降下しろだなんて………」

「地球連邦の本丸たるジャブローが、エゥーゴの攻撃程度で陥落するわけが無いということでしょう。」

「しかし……」

「これは、そのジャブローからの命令なのです。」

「くっ………」

不満げにシジョウを見るチハヤだったが、

「分かりました、自室で待機しています。」

踵を返し、艦橋を後にした。

「チハヤちゃん………」

心配そうに艦橋の扉を見るユキホに、

「心配なら、行ってきてはどうですか?」

微笑みかけるシジョウ。

「え?あの………」

「索敵は他のオペレーターに任せて構いません。あなたはMSの管制担当なのですし。」

「…分かりました、ありがとうございますっ!」

ユキホは立ち上がって敬礼、艦橋を後にした。




「そう……チハヤちゃんが……」

モンデンキント艦橋。ハルカから話を聞いたアズサが、目を伏せて頷いた。

「星の屑以来、ずっと地球にいたなら仕方ない事なのかもしれませんね………」

オペレーター席に座ったまま、ハルカを見てコトリが言った。

「チハヤさん、私達の敵になっちゃったんですか?」

その隣で、泣きそうな顔をするヤヨイ。

その目に、チハヤに一番懐いていたヤヨイにまさかその通りと言うことはできず、一同はうつむく。

「……違うよ。」

口を開いたのは、ハルカだった。

顔を上げ、光の燈った目で前を見る。

「チハヤちゃんは、敵じゃない。」

「ハルカ………」

マコトが心配そうに肩に手をかけるが、

「チハヤちゃんを連れ戻そう!本当のティターンズを知れば、チハヤちゃんはきっと分かってくれるよ!」

ハルカのはっきりとした声に目を見開き、大きくうなずいた。

MSパイロットとして、親友として一番チハヤの近くにいた自分たちが、チハヤを信じずにどうするというのか。

「……そうだよ!チハヤは本当のティターンズとエゥーゴを知ったらきっと分かってくれる!」

力強くハルカの肩に手を置き、マコトは言った。

「そうね。チハヤちゃんはずっと一緒にいた仲間だもの。」

コトリもヤヨイの両肩に手を置く。

「ジャブロー奇襲の情報を受けて、ティターンズ艦隊も、衛星軌道上に集結する軌道をとっているらしいわ。もしかしたら、チハヤちゃんとも……」

アズサが艦橋の窓にうつる地球を見る。

その時。

「アズサさん、アーガマのブライト艦長からレーザー回線通信です。」

コトリがパネルを操作、アズサの手元のディスプレイに通信の詳細を表示する。

「お繋ぎ、してください。」

制服の襟を正し、艦長席に座るアズサ。

「分かりました。」

コトリの声とともに、ディスプレイに映し出されるブライト・ノアとアーガマの艦橋。

[アズサ・ミウラ中佐ですね?アーガマのブライト・ノアです。]

連邦軍制式の敬礼をするブライトに、

「はじめまして、アズサ・ミウラと申しますー。」

アズサは艦橋席から立ち上がりお辞儀をする。

[貴女のアフリカ戦線における活躍はお聞きしています。今回の作戦、よろしくお願いします。]

「いいえ、こちらこそ、ホワイトベースの英雄とご一緒できるなんて光栄ですわ。」

[私は二隻も自分の船を沈めた男ですよ。地球で貴女のヘビィ・フォーク級……『ネーブラ』と言いましたか、拝見したことがありますが、傷だらけになりながらもよく生き残らせていた。御立派です。]

「ただの偶然ですよー。」

かしこまって言うブライトに、アズサは手をひらひらと振る。

[ご謙遜を。……では、これよりアーガマ以下、エゥーゴ主力艦隊は連邦軍艦隊が軌道変更不可能点通過を確認後、長楕円軌道から双曲線軌道に加速、バリュート装備のMS部隊によるジャブローへのダイレクト・エントリーを行います。]

「了解してますわ、ブライト大佐。我々はその援護任務の後再加速、パナマ地峡へ降下すれば良いんでしょう?」

[この作戦は単なる武力威示です。カラバと共に、疲弊した部隊の援護をお願いします。]

「分かりました、お任せください。」

[では。]

敬礼と共に、通信が切れる。

「嚮導艦より各艦へ通達入りました。作戦開始予定時刻まであと一時間、各艦は第二戦闘配備で待機されたし!」

コトリの声とともに、艦橋のメインモニターに映し出されるカウントダウン表示。

アズサが艦長席に着き、口を開いた。

「総員、第二戦闘配備。MSパイロットはハンガーにて待機、全戦闘員は持ち場についてください。」

[総員、第二戦闘配備!MSパイロットはハンガーにて待機、全戦闘員はコンディション・イエローで各々の持ち場についてください!]

アズサの指令をヤヨイが復唱する。

「本艦はアーガマ以下主力艦隊のMS部隊のジャブロー降下を支援後、再加速してMS部隊をパナマ地峡に降下させます。落下限界ギリギリの戦闘になります、MSにはバリュートを装備してください。」

そしてアズサは手元の通信機をとり、MSハンガーに繋げた。

「リツコさん。」

[大丈夫です、マコトのリック・ディアスの調整も終わりました!ハルカ機へのバリュート装備作業も現在進行中。失ってしまったネモとパイロットの補充がきかないのが、少しイタいですけど。]

「仕方ないわ、補給を受けた直後だもの。」

苦笑するリツコに、微笑むアズサ。

[でもでも、アミたちがマコちんの機体にも調整入れておいたから、もっと強くなってるはずだよ!]

その時、格納庫の別の通信機からアミが割り込んでくる。

[そうそう!マコちんの良く使う格闘動作に合わせてフレームの剛性と重量配分を変えて、OSも組み替えておいたから、通常の三倍、速く動けるよ!]

[それは言いすぎじゃない?]

[かなぁ?]

[コラーっ!アミ、マミ、素頭で格納庫に入ってきたら危ないって何度言うたら分かるんや!はよ出ていくかヘルメット被るかせぇ!]

いつもの調子でまくし立てるアミとマミの声を遮るように、遠くから聞こえてくるチカコの声。

[マズい、チカゴンだ!]

[逃げろ!]

[誰がチカゴンや!外に放り出すで!]

「………そっちは任せて大丈夫そうね。」

[おもりは任せてください。]





「うわぁ、やっぱり地球は綺麗だなぁ……」

オーバーマスターのリラクゼーションルーム。外の景色を見て、ヒビキが言った。

「母なる地球だもの。それを守るために、私達は戦ってる。」

部屋の中央、チハヤは目を閉じ、無重力に浮いている。

「そうだな。スペースノイドの連中に、汚されてたまるもんか。」

「あ、あれがジャブローなの!」

真剣な顔をするヒビキと、無邪気に窓の外を指さすミキ。

その指の先には、ジオンの脅威が去って隠蔽する必要がなくなり、アマゾンの森林にぽっかりと灰色の穴が空いたようなジャブローの姿が。

「南米ジャブロー、地球防衛の要。だから私達は、そこを守らなければならない。」

「でも、あれじゃ地球が可愛そうなの。」

ミキが、窓越しにジャブローの穴をなぞるようにガラスを指で撫でる。

「コロニー落としなんていうことをするスペースノイドに乗っ取られるよりはマシよ。私達が地球に住むためには、仕方のないこと。………ジオンないたあなたなら分かるでしょ、ユキホ。」

「え、う、うん………」

部屋の隅にいたユキホは突然声をかけられ、驚いて顔を挙げた。

「ハルカにも、それを分からせないと………」

歯を食い縛るチハヤ。

それを不思議そうな顔で見るミキ。

その時、衛星軌道上に閃光が走る。

「まさか、もう戦闘が始まったの!?」

チハヤが窓に張り付き叫んだ。

[各員へ、エゥーゴ艦隊が我々の予測を裏切り双曲線軌道へ加速を開始しました。]

艦内に響くシジョウの声。

「やられた……!現行の連邦軍艦隊では、この高度からじゃ重力に引かれて逆行出来ない!」

[いち早くそれに気付いた遊軍が現在攻撃を行っていますが、敵部隊の大半はジャブローに降下してしまいます。ジャブローが落ちることはありえませんが、残党狩りの厳しさは増すやもしれません。MS部隊は心して下さい。]

そして、通信機を置くシジョウ。

「敵も愚かでは無い、ということですか…………オーバーマスター、最大戦速!降下予定時間が早まったことを忘れないで下さい!」

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プロフィール

リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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