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林檎亭

(´・ω・`)やぁ。 ようこそ林檎亭へ。

第二話-セカンドアルテミス(中編)-【宇宙駆ける蒼い鳥】

2009.11.19

category : 月光蝶である!

「2時の方向、敵影ですっ!」

モンデンキント艦橋、ヤヨイが叫んだ。

「嘘!?」

艦長たるアズサよりも早く身を乗り出したのは、ハルカ。

「本当よ。発進時の噴射だけで数は分からないけど、恐らくMS……」

画像解析を進めながらコトリが言う。

「艦の軌道は、予定通り変えないでください。ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布。」

いつもの落ち着いた口調で、適確に指示を出していくアズサ。

「アズサさん、私出ます!」

[あかん、ハルカの機体は最終調整が終わっとらん!]

艦橋を後にしようとするハルカであったが、チカコの声に引き止められる。

「ネモ隊、発進お願いします。」

チカコの言葉を聞いて、迷うことなく言うアズサ。

[あと3分で終わらせるさかい、準備して待っといてくれ!]

「わかりました……」

ハルカは唇を噛み締め、ゆっくりと艦橋を後にする。

「じゃあボクが」

勢い良く手を挙げたマコトだが、

[アンタの機体は突入作戦までに直すのが精一杯なのよ!バカなこと言ってんじゃない!]

「ごめんなさい……」

リツコに怒鳴られた。





「敵が出たの。」

ミキが、チハヤ機とヒビキ機の手を握って言った。

「………あの光かしら。」

チハヤが目を細め、正面を睨んで言う。

「いつもの、行くわよ!」

チハヤの掛け声で一直線に隊列を組み直し、全力噴射。

その光は敵に居場所を教え、接近は視認を可能にする。

「こちらネモ隊、敵機を視認した!敵は………クゥエル1機?」

言葉通り、彼らに見えているのは全力噴射で向かってくるクゥエル1機のみ。カスタマイズされているようだが所詮は旧式、恐れるに足らない。

ネモのパイロットは小馬鹿にしたように鼻を鳴らし、

「ずいぶんナメられたもんだ。ハルカ少尉が出るまでもないな。」

3機のネモ小隊全員が、腰に装備されたミサイルランチャーを牽制に発射。

クゥエルが、バルカンとビームライフルでそれらをすべて撃ち抜く。

「すこしはやる、か……」

破片と爆炎で見えなくなったクゥエルの姿を捜しながら、ネモはライフルを構えた。

「各機、索敵を怠るな!」

その時、ビームの閃光がネモを掠める。

「煙の中から撃ってきた!?」

「うおおおおおおおっ!」

一瞬遅れて、煙の中から飛び出してくるクゥエル。良く見ると制式色そのままではなく、肩のアーマーには浅葱色のラインが走っている。

慌ててネモがライフルを突き付けるが、浅葱色のクゥエル、ヒビキ機は見透かしたかのように軌道変更、ネモの下をすり抜ける。

「ミキ!」

次の瞬間、ネモの前方センサーが捉えたのは、未だ漂う煙の中から上へと飛び出す機影。

「なんだと!?」

敵は今しがた自分の下をくぐり抜けたはず。

目を凝らせば、その機体に走るラインの色は、フレッシュグリーン。

「別の機体……!?」

「遅いの!」

そのクゥエル……ミキは右手にマシンガン、左手にビームライフルを持ち、一斉掃射。

当てずっぽうに撃った弾はネモに当たることはなく、その周りを駆け抜けていく。

「こんな攻撃……」

「チハヤさん!」

盾を構え、射撃の雨に耐えるネモに、水色のラインの入ったクゥエルが突進する。

「はあああああああっ!」

ビームサーベルが、ネモを一刀両断にした。

「なんだこいつら……!」

慌てて体勢を立て直す残りの2機。

「甘いぞ!」

あとから出てきた2機に気を取られていたネモが、後ろに回り込んでいたヒビキに気が回るはずもなく。

真後ろからBRに撃ち抜かれ、爆散する。

「しまっ……」

慌てて逃げようとする最後の一機であったが、ヒビキとミキに両腕を捕まえられた。

「くそっ……!」

必死にもがくが、クゥエルに備わる標準以上の馬力に加え、追加ブースターになす術は無い。

チハヤが接近、ネモの肩を掴み、ビームサーベルを背中につきつけた。

「脱出しなさい!」

「女の声……!?何を言って……」

「いいから、脱出しなさい!死にたいの!?」

その声の気迫に後ろを振り向いたネモのパイロットの目に映ったのは、煌々と光るビームサーベルの切っ先。

「ひっ……」

息を飲み、慌てて脱出装置を作動させるパイロット。

胸部装甲が吹き飛び、コックピットユニットが飛び出る。

「「「Come again!」」」

次の瞬間、ヒビキとミキの放ったビームが、チハヤのサーベルが、ネモを貫いた。





「ネモ隊、全滅!」

モンデンキント艦橋、コトリが叫んだ。

「そんな、あっという間に……」

ヤヨイも、涙目になりながらも情報処理を続けている。

「ハルカちゃんの出撃は?」

普段とは違う、切迫した表情でアズサが言う。

[今、出ますっ!]

格納庫、ハルカがリック・ディアスのコックピットにつかまって言った。

「はるるんっ!」

その時、格納庫の扉を開けて2つの影が飛び込んでくる。

一年戦争から7年、成長してもうりふたつのその人影。

「こらーっ!アミ、マミ!出撃前後のハンガーにイキナリ入ってくるなって何回言えば……!」

「へっへーん、大丈夫だよー!」

マミが下で怒鳴るリツコに舌を出し、アミがハルカにデータチップを投げる。

「さっきの戦闘データを基に、はるるんに合わせてOS組み直しておいたの!」

「しっかり使えよっ!」

「よっ!」

「ありがとう、アミ、マミ!」

満面の笑みを浮かべてチップを受け取り、コックピットのスロットに放り込んだ。

そのままカタパルトへ、メンテナンスクルーと、アミ、マミが見送る。

[ハルカ・アマミ、行きます!]

脇の信号が赤から青へと移り変わり、発進。



「この感じ!」

ネモ隊を倒し、殿の艦……モンデンキントを追撃しようと動きだした瞬間、ミキが突然顔を上げた。

「どうしたの?」

「あの時の……でも、暖かいって言うより……熱い……」

チハヤがミキの肩を掴んで言うが、ミキは耳を貸さない。

チハヤも試しに目を閉じてみるが、何も感じなければ、真空の中、耳に入るのはクゥエルの駆動音だけ。

「ヒビキ、分かる?」

「出撃前にもミキが言ってて……自分はそういうのはよく分からないから…」

チハヤの問いに、険しい顔をするヒビキ。

「この人、怒ってるの。」

あまりにも真っすぐで、ともすれば怯んでしまいそうな強い感情。だがそれは憎しみではなく、悲しみに満ちた怒り。

「仲間を殺されたんだもの……当然ね。」






「何、この感覚……」

一方、ハルカも違和感を感じていた。出撃前から感じていた威圧感。それが、会敵が近付くにつれて強くなっていく。

今までにも、ニュータイプと思われる人間と戦ったことはあった。

「けど、こんなの初めて……」

今まで感じてきたのは、こちらに対する敵意、嫌悪。

今感じているのは、呼んでいるような、無邪気な心。

「でも………」

加速のためにペダルを深く踏み込み、レバーを強く握る。

「惑わされない!」

「「っつ……!」」

ヒビキとミキが、跳ねるように姿勢を正し、銃を構えた。

「どうしたの?」

「来るぞ!」

ヒビキの真剣な声に、チハヤも構える。

射程距離までもかなりあるが、クゥエルの高性能カメラの最大拡大映像が敵の影を捕らえた。

スラスター全開で突進してくる機体。特徴的な背中のバインダーは、リック・ディアスか。

射程距離よりはるかに遠い距離から、リック・ディアスが発砲。

どうせ牽制、当たるはずはないと楽に構えていたチハヤであったが、

「チハヤ、危ない!」

ヒビキがチハヤ機に回し蹴りを入れた。

「何を……!」

意味不明の行動に怒鳴ろうとしたチハヤであったが、ビームに貫かれたヒビキ機の右足を見て息をのむ。

「狙ってきたというの……?」

有効射程より遥か遠くからの精密射撃。

かつての親友が頭をよぎるが、首を振り否定する。

「まさか、ね。」

彼女は地球連邦軍。スペースノイドに与するはずがない。

何より、彼女はいつも私を遠くからでも見つけてきた。

ドジな彼女であったが、いつもそのことには一本取られた気分で。

MSの装甲越しでも、彼女は私を見つける。ならば、銃を向けるはずがない。

ヒビキもすでに爆発の恐れのある右足を切り離して戦闘行動は可能、チハヤは気を取り直して大きく深呼吸、ビームライフルを構えた。

だが、チハヤの目に映ったのは。

白をベースに、明るいピンクのリック・ディアス。

「ハル……カ……?」

かつての親友、ハルカ・アマミのパーソナルカラーが施された機体。

「ハルカなの?」

まさか、そんなはずが。

「チハヤさん、どうしたの?」

ミキの声も聞こえず、操縦桿を握る手が震える。

「ハルカっ!」

「……チハヤちゃん!?」

ずっと感じていたプレッシャーを突き抜ける、鋭いチハヤの思念を感じてハルカは立ち止まった。

「動きが止まった?」

人の名前を連呼するチハヤと、突然動きを止めた敵に戸惑いながらも、ヒビキは銃を構えた。

「待って。私がやる。」

片手でヒビキを制して言うやいなや、

「……ハルカ!」

チハヤはスラスター全開で飛び出した。

「おい、チハヤ!」

ヒビキは止めようとするが叶わず、チハヤは突き進み、敵は静止したまま。

「知り合い……なのか?」

ヒビキは呟いた。

「チハヤ……ちゃん……?」

猛スピードで突っ込んでくるチハヤに、ただ立ちすくむしかないハルカ。

手が震える。今、自分はチハヤを彼女と気付かず撃った。

チハヤの氷のように鋭い気質、いつもなら気付けていたはずなのに。

「ハルカ!」

チハヤ機が、ハルカ機の両肩を掴んだ。

接触通信を開放、目に涙を浮かべチハヤが叫ぶ。

「チハヤちゃん!なんでティターンズに!?」

通信が繋がり、ハルカが言う。

「あなたこそ、なんでスペースノイドに肩を貸すの!? なんで……」

今にも泣きそうなチハヤの声。

「なんで私に銃を向けるの!?」

その口から、ハルカの一番恐れていた言葉が飛び出した。

「違う! ………!?」

首を振りハルカは口を開くが、その時、モンデンキントの方向から打ち上げられる発光信号。

「回収限界………!」

このままでは、取り残されてしまう。

チハヤを連れ帰る、自分がチハヤについていく、様々な思いが頭名の中を駆け巡るが、

リック・ディアスの肩の一部が開き、驚いたチハヤが慌てて離れる。

が、放たれたのは一発の信号弾。

「……チハヤちゃん……ごめん……」

ハルカ機に腕を伸ばすチハヤ機を一瞥、ハルカは踵を返し、彼方へと消えていった。
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プロフィール

リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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