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林檎亭

(´・ω・`)やぁ。 ようこそ林檎亭へ。

第二話-セカンドアルテミス(前半)-【宇宙駆ける蒼い鳥】

2009.11.16

category : 月光蝶である!

ちょいちょい分割してのせます。 いやだって全然書くのが間に合わないんですもの^^^^^^^

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<宇宙世紀 0087 3月>
【ラグランジュ3宙域】


「ルナツー到着予定時刻まで、あと30分です。」

モニターの航路図を見ながら、ユキホが言った。

「ありがとうございます。では、そろそろ着替えてきます。不測の事態も起きないでしょうし、指揮はユキホに任せます。」

「ええっ!?でも、私なんかが」

「貴女なら大丈夫です。不安ならチハヤ大尉を呼びなさい。」

「はぁ……」

弱々しく答えるユキホを尻目に、シジョウは艦橋のドアをくぐり、消えていった。

それと入れ代わりに、チハヤが艦橋に入ってくる。

「チハヤちゃん!」

「ユキホ、今中佐が出ていったけど……」

「……着替えてくる、って……」

「まぁ、あの恰好でルナツー司令に会うわけにはいかないものね。」

漂ってきた羽の扇を的確に艦長席へと投げ返し、肩をすくめるチハヤ。

「で、チハヤちゃんはどうしてブリッジに?」

「今回ルナツーに寄るのは、MSの性能評価報告のためだもの。私がいないと意味が無いじゃない。」

「あ、そっか。」

MSの事はMS隊に。シジョウの口癖である。

「ルナツーまで、あとどれくらい?」

「あと20分。レーザー回線用意しとかなきゃ。」





<10分前>

「エゥーゴ主力艦隊、予定通りこちらに向かっています!」

若い将校がルナツー司令部の扉を開け、高座に座る若い男性に言った。

「あまり大きい声で言わんでくれ、ティターンズに知られればまずい。」

ただの黒い影に見えない事もないルナツー司令、タカギが顔をしかめる。

「了解です。」

将校は微笑んで敬礼、指令室の自分の席に着いた。

「旗艦アーガマを先頭に、8隻。エゥーゴ艦隊編成は予定通りです。」

「アーガマ、ルナツーでのスイングバイ軌道に乗りました!我が防空圏内まで、あと10分!」

メインモニターに、ルナツーを周回して方向転換をする艦隊軌道が映し出される。

「よし、警戒態勢をイエローからレッドに移行。総員、第一種戦闘配置!」

[エゥーゴ艦隊、なおも停止する気配無し。繰り返す、総員、第一種戦闘配備!]

[各員、砲座につけ!]

ルナツー基地全体に警報が鳴り響くが、人の流れは変わらない。

「……連邦本部に事実が露呈すれば、軍法会議ものだな。」

「この基地に、裏切る人間なんていやしませんよ。」

渋い顔をするタカギに、オペレーター席に座る男がほほ笑みかける。

「すまんな。」

タカギは苦笑し、通話機を手に取って咳ばらい、

「サラミス、マゼラン、第3ゲートより順次発進!」

手を振りかざして怒鳴る。

「第3ゲート、改修中のため現在使用不能です!」

切迫した声で怒鳴り返すオペレーター。

「第2ゲートは!」

「使用は可能ですが、艦隊すべてに方向転換用の推進剤を注入するとなると……」

「どれくらいかかる!?」

「ざっと30分は!」

「ええい、よりによって艦隊演習の直後に……!」

歯を食いしばり、椅子の肘置きを叩くタカギ。だが、その口元は笑っていた。

「敵艦隊予測進路詳細、出ました!30分後には殿の艦が軌道変更終了……ダメです、迎撃間に合いません!」

「間に合うか間に合わないかじゃない、間に合わせるんだ!全艦、第2ゲートからの発進急がせ!」

「了解!全艦第2ゲートへ、プロペラント注入開始します!」

オペレーターの怒号を最後に、指令室に静寂が訪れる。

「これで大丈夫……か。」

どっと脱力し、タカギは椅子に崩れた。

「お疲れ様です、司令。」

そばにいた男が、軽く敬礼する。

「どうにも嘘をつくのは苦手でね、ひやひやしたよ。」

苦笑いするタカギ。

「名演技でしたよ、司令!」

オペレーター席の男も、冷やかすように言う。

「ありがとう。……これで、何事も起こらなければいいのだが……」





「ルナツー、かぁ………」

モンデンキント艦橋。暗闇に埋もれて見えないルナツーの方向を見て、赤いエゥーゴの制服に身を包んだハルカは言った。

「あの時以来かぁ、チハヤに会ってないのは。」

同じく、黒の制服を纏ったマコトが呟く。

「星の屑のソロモン襲撃のすぐ後だよね。」

「地球の防衛を強化する、とかで。こっちは大変だったのに。」

苦笑し、肩をすくめるマコト。

「ユキホも、元気なのかなぁ……」

だがすぐに真剣な顔になり、左手に見える地球を眺める。

「終戦後、私たちが宇宙に上がったすぐ後に親族が見つかった、って聞いたけど………」

艦長席に座ったアズサも、心配そうな顔で言った。

「チハヤちゃん……ユキホちゃん……」





「誰……?」

同刻、オーバーマスターの更衣室。制服に袖を通し、まさに着ようとしていたところで、不意に顔を挙げるミキ。

「どうしたー?」

私服をロッカーに直しもせずに宙に放置、キャミソール一丁のヒビキが言う。

「誰か……呼んでるの?」

「何も聞こえないぞー?」

目を閉じるミキに、首をかしげるヒビキ。

「違うの……」

はだけた胸元で祈るように手を合わせる。

「チハヤさんみたいに……まっすぐで……でも、あたたかかい……」

寝言のように呟くミキ。

「何か、分かるのか?」

知り合ったときから、ミキにはこういうところがあった。

……ずっと宇宙暮らしだったから、なんて、ジオンの理想みたいなことは信じたくないけど……

しかし、ミキに妙な能力があるのも事実。

すると、

「……敵なの。」

顔を上げ、ミキが言った

「チハヤさんとシジョウ中佐に言いに行かなきゃ!」

そのまま、制服の前を留めもせず更衣室を飛び出した。

「ちょ、おい、ミキ!?」

ヒビキは慌ててキャミソール一丁の体を制服で隠し、手を伸ばすがミキはすでに居ない。

「ああっ、もうっ!」

舌打ち、乱暴に服に袖を通し、ヒビキも更衣室を後にした。




「チハヤさんっ!」

艦橋のドアが高圧空気の音と共に開き、黄色い毛玉が転がり込んできた。

「ミキ!」

前がはだけ、下着モロ見えで宙を舞うミキに、チハヤが悲鳴に近い声を上げる。

「あなたなんて格好で……!」

天井近くを舞うミキを捕まえ、ボタンを留めようとするチハヤ。

「敵が!敵が来るの!」

「敵……?」

真剣な顔で訴えるミキに、チハヤは一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに頷いた。

ニュータイプ。かつての親友がそうであったように、彼女もまた。

だとすれば敵はエゥーゴ。ミキがどれほど敏感でも、ミノフスキー粒子の薄いこの宙域で感知できる規模の敵意は、ガンダムMk=Ⅱを奪った連中くらい。

彼らが月に向かうにしろ、他のサイドに向かうにしろ。

「ユキホ、ルナツー軌道周辺を最大望遠で映して!」

「分かった!」

中央モニターに映る、ルナツーと周りの星々。

その中に、チラリと光る一筋の光。

「見つけた……!」

Mk=Ⅱ奪還に貢献できるかもしれない。その期待に、目が光るチハヤ。

「解析終了、サラミス、マゼラン、じゃあアーガマ………とも違う、該当データ無し、もしかして、エゥーゴの新造艦……?」

「何事です!?」

その時、艦橋の入口に仁王立ちする銀と紫紺の影。

「シジョウ中佐!」

「着替え終わってみれば、ヒビキは廊下を文字通り飛んでいってましたし、他の船員は呆然と立ち尽くしていますし……」

「中佐、敵艦です。」

ため息と共に言うシジョウを半ば無視、チハヤが言った。

「……詳しく。」

母親のような顔から司令官のそれに切り替わり、シジョウは言う。

「ルナツーを挟んで反対側の空域に、識別不能のノズル光を確認しました。」

先ほどの画像をメインモニターに映しだし、ユキホが言った。

「分かりました。ルナツーから、艦艇が発進する気配は。」

「今の所ないです……」

「ルナツーにレーザー通信回線を開いて下さい。ルナツーのお偉方はいざこざを起こしたくないようですが、Mk=Ⅱを強奪した部隊ならそうもいきません。」

「分かりました。」

シジョウの指示通り、用意していたレーザー回線を開放、ルナツーに繋ぐユキホ。




「レーザー通信、受信!ティターンズ所属アレキサンドリア級、『オーバーマスター』……!?」

ルナツー司令室。額に汗を浮かべ、オペレーターが叫んだ。

「まさか、予定より半日も早いぞ!」

タカギも驚き、首を振る。

「間違いありませんよ!どうします、無視を……」

「いや、さすがにそれはまずい。通信を開いてくれ。」

「……了解。」

中央モニターに、制服を纏ったシジョウの姿が映し出される。

[こちら、『オーバーマスター』艦長のタカネ・シジョウ中佐です。ルナツー司令、タカギ中将閣下でいらっしゃいますね?]

「ああ。」

[こちらから、貴殿の基地のNフィールドに識別不能のノズル光を確認いたしました。そちらでもお気づきになっている筈ですが。]

「認識はしている。だが、艦隊演習を行ったばかりで艦隊の推進剤も少なく、最寄のゲートの改修を始めてしまっている。方向転換を行った上での戦闘機動を行うには………」

[では、こちらで支援を行います。上手くいけば、殿りの艦なら捕らえられると存じますが。]

「………了解した。」

[こちらからはMS隊を発進させます。敵艦隊の情報提供をお願いします。]



[敵艦隊は全部で5隻。ルナツーから送られてきた予想進路からして、今から発進して間に合うのは最後の1隻だけだけど………]

0087において完全な旧式ともいえる半天モニターに、ユキホの不安げな顔が映し出される。

「それだけで十分よ。」

セッティングを行いながら、チハヤは言った。

「ミキ、ヒビキ、用意は良い!?」

[いつでも大丈夫なの!]

[こっちも大丈夫だぞー!]

通信モニターに、ガッツポーズのヒビキとミキが映る。

[チハヤちゃん……無理、しないでね………]

「分かってる。ユキホを一人にしとくのは不安だもの。」

弱々しく言うユキホに、チハヤは微笑んでモニターを弾く。

[チハヤちゃん………]

[もうっ、チハヤさん、ノンビリしてたら逃げられちゃうの!]

「分かってるわよ。」

チハヤの声で、カラカラと格納庫のハッチが開いていく。

カタパルトデッキ表面、通常の2本のカタパルトに加え、艦の下側に追加カタパルト、計3本のカタパルトに、カスタマイズされたジム・クゥエルが現れる。

背中の上方に突き出るように装着された、巨大な追加スラスター。

腰の近くには、一年戦争後期のジオン軍MSに見られた、スラスター兼用のプロペラントタンクが。

[チハヤ・キサラギ!]
[ミキ・ホシイ!]
[ヒビキ・ガナハ!]

構えを取る3人、シジョウが扇を前に突き出した。

「フェアリー隊、発進!」

[[[行きます!]]]
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プロフィール

リンゴ・t

Author:リンゴ・t
アイマスが好きです、でもガンダムは人生です。

im@s架空戦記「宇宙駆ける蒼い鳥」好評連載中!

その他にも雑記、オリジナル小説上げるかも。

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